意味
今日注目するのは、英語の会話でよく耳にする 「Nothing personal」です。
直訳すると「個人的なことじゃないよ」という意味ですが、実際にはもっと繊細な役割を持つ表現です。
このフレーズは、相手にとって耳の痛いことを伝えるときに使われる 「社会的クッション(緩衝材)」のようなもの。
批判や拒否、境界線の提示など、相手が傷つきやすい場面で、「あなた自身を否定しているわけではない」というメッセージを添えるために使われます。
日本語に訳すとすれば、状況や場面次第ですが、例えば「個人的なことじゃないんだけど」「個人的な理由じゃないんだけど」「悪く思わないでほしいんだけど」「個人的に嫌いとかじゃないんだけど」といった表現が可能でしょうか。
なぜこの表現が役に立つのか
1. 相手の「自尊心」を守るため
人は誰でも、自分の人格や価値を否定されたと感じると防御的になります。
「Nothing personal」は、問題が “人” ではなく “状況” や “行動” にある ことを明確にし、相手の防衛反応を和らげます。
2. 率直さと優しさのバランスを取れる
言いにくいことを曖昧にすると、かえって誤解を生むことがあります。
このフレーズを添えることで、
• 正直に伝える
• でも相手を傷つけない
という両立がしやすくなります。
3. 関係性を壊さずに「ノー」(否定)を伝えられる
ビジネスでもプライベートでも、断らなければならない場面は必ずあります。
「Nothing personal」は、「関係は大切に思っている」というサインにもなるため、その後の関係をスムーズに保つ助けになります。
会話例
様々な状況での具体的な会話例を見ながら、「Nothing personal」の意味、ニュアンス、使い方に慣れましょう。会話例には、参考のための和訳を添えます。
Conversation 1: The Job Interview That Didn’t Go Well
Context: A hiring manager calls a candidate with bad news.
Manager: Hi Marcus, thanks again for coming in on Tuesday. I really appreciated the chance to talk with you. That said… we’ve decided to move forward with another candidate. Nothing personal — your experience is strong, but the other applicant was just a slightly better fit for what we need right now.
Marcus: Thanks for letting me know directly instead of by email. Would you mind sharing any feedback?
Manager: Of course. Your technical skills are excellent. For this particular role, though, we were looking for someone with more client‑facing experience.
Marcus: That makes sense. I’ll work on that. Thanks for your time.
会話1:面接がうまくいかなかったとき
状況:採用担当者が候補者に不採用の連絡をする。
採用担当者:もしもし、マーカスさん。改めて、火曜日は面接にお越しいただきありがとうございました。お話しする機会をいただけて本当に良かったです。ですが・・・検討の結果、今回は別の候補者を採用することになりました。悪く思わないでほしいのですが、あなたの経験や経歴はとても優れていますけれど、ただ、現時点で私たちが求めている条件には、もう一人の応募者のほうが少しだけ適していました。
マーカス:メールではなく、直接知らせていただきありがとうございます。差し支えなければ、何かフィードバックをいただけますか。
採用担当者:もちろんです。技術的なスキルは申し分ありません。ただ、このポジションでは、もう少し顧客対応の経験がある方を求めていました。
マーカス:なるほど、それは理解できます。その点は今後伸ばしていきたいと思います。お時間をいただき、ありがとうございました。
Conversation 2. The Friend Group Shake-Up
Context:Two old friends run into each other after one left their shared social circle.
Priya: Hey, I feel like we never see you at game nights anymore. Did we do something wrong?
Jordan: Honestly? Nothing personal against anyone, but the dynamic of the group was draining me. I needed to step back for my own sake.
Priya: I get that. It has been a little chaotic lately.
Jordan: You’re one of the good ones, Priya. Maybe we could grab coffee, just the two of us?
Priya: I’d really like that.
会話2:友人グループの変化
状況:共通の友人グループから離れた人と、昔からの友人が偶然再会する。
プリヤ:やあ。最近ゲームナイトに全然来なくなったよね。私たち、何か悪いことした?
ジョーダン:正直に言うと、誰かが嫌いとかじゃないんだけど、グループの雰囲気がちょっとしんどくてさ。自分のために距離を置く必要があったんだ。
プリヤ:わかるよ。最近ちょっとバタバタしてたしね。
ジョーダン:プリヤ、君はいい人だよ。今度、二人だけでコーヒーでもどう?
プリヤ:ぜひそうしたいな。
Conversation 3. The Tough Coach
Context:A basketball coach benches a star player during a crucial game.
Tyler: Coach, why am I on the bench?! I’ve been our top scorer all season!
Coach: Nothing personal, Tyler. Their defense is specifically keying on you tonight. If I put you in, they’ll double-team you every possession and it opens nothing up.
Tyler: So what do I do?
Coach: You wait. When we need a bucket in the final two minutes, you’ll be fresh and they won’t see it coming.
Tyler:(sighs) Okay. I trust you.
会話3:厳しいコーチ
状況:バスケのコーチが重要な試合でエースをベンチに下げる。
タイラー:コーチ、なんで俺ベンチなんですか?! 今シーズンずっとトップスコアラーですよ!
コーチ:タイラー、個人的な理由じゃない。相手のディフェンスは今日は完全にお前をマークしている。今出したら毎回ダブルチームで守られて、攻めの形が作れない。
タイラー:じゃあ俺はどうすれば?
コーチ:待つんだ。残り2分で点が必要になったとき、お前は体力を温存できているし、相手も不意を突かれるだろう。
タイラー:(ため息)わかりました。コーチを信じます。
Conversation 4. The Negotiating Table
Context:Two business partners are in a tense contract renegotiation.
Sandra: I have to be direct with you, Dave. We’re going to have to reduce your commission rate from 12% to 8%.
Dave: That’s a significant cut. I’ve been with you for six years.
Sandra: I know, and I want to be clear — nothing personal. This is a company-wide restructuring. Every external partner is seeing the same adjustment.
Dave: I understand, but I need something in return. Can we talk about a higher volume bonus to offset it?
Sandra: That’s actually a conversation I’m open to having.
会話4:交渉の席で
状況: ビジネスパートナー同士の緊張した契約再交渉。
サンドラ:率直に言うわ、デイブ。あなたの手数料率を12%から8%に下げる必要があるの。
デイブ:それは大きな減額だよ。もう6年も一緒にやってきたのに。
サンドラ:わかってる。でも誤解しないでほしい、個人的な理由じゃないの。会社全体の再編で、外部パートナー全員が同じ調整を受けてる。
デイブ:事情は理解するけど、その代わりに何か必要だな。埋め合わせとして、取扱量に応じたボーナスを増やす話はできる?
サンドラ:それなら前向きに話せると思う。
Conversation 5. The Brutal Book Club
Context:A book club member gives honest feedback on a book that the host chose and loved.
Host: So, what did everyone think of The Amber Corridor? I absolutely loved it!
Member: I’ll be honest — and nothing personal since you picked it — but I found the main character completely unlikeable. I almost didn’t finish it.
Host: Really?! That’s exactly why I liked her. She’s flawed!
Member: Flawed is one thing, but she made the same mistake four times. I lost patience.
Host: Okay, now I kind of want to defend her for the next hour.
Member: Please do. That’s what the book club is for!
会話5:容赦ない読書会
状況:主催者が選んで絶賛した本について、読書会の参加者が率直な感想を述べる。
主催者:それで、みんな『アンバー・コリドー』はどうだった? 私は大好きだったんだけど!
参加者:正直に言いますね。あなたが選んだ本だから言いづらいけれど、悪く思わないでください。私は主人公がどうしても好きになれませんでした。最後まで読むのをやめようかと思ったくらいです。
主催者:本当に?! そこが私は好きだったのに。あの欠点だらけな感じ!
参加者:欠点があるのはいいんですが、同じ失敗を4回も繰り返したでしょう。さすがに我慢できなくなりました。
主催者:よし、それならこれから1時間かけて彼女を弁護したくなってきた。
参加者:ぜひそうしてください。それこそ読書会の醍醐味ですから!
Conversation 6. The Roommate Boundary
Context:A new roommate politely but firmly sets a boundary early on.
Alex: Hey, I wanted to talk about something small before it becomes a big thing.
Roommate: Sure, what’s up?
Alex: Nothing personal, but I really need the common areas to be quiet after 10pm. I have early shifts, and I’m a pretty light sleeper, so late‑night noise makes it hard for me to rest.
Roommate: Oh, totally fair. I didn’t realize your schedule was like that. I’ll take calls in my room.
Alex: I really appreciate it. Other than that, I think we’re going to be great roommates.
Roommate: Agreed. Thanks for just saying something instead of stewing about it.
会話6:ルームメイトとの境界線
状況:新しいルームメイトが早めに丁寧に境界線を設定する。
アレックス:ねえ、ちょっとしたことなんだけど、大きくなる前に話しておきたくて。
ルームメイト:うん、どうしたの?
アレックス:個人的なことじゃないんだけど、夜10時以降は共用スペースを静かにしてもらえると助かるんだ。朝早いシフトで働いているし、僕はかなり眠りが浅いから、夜遅くの物音があるとなかなか休めなくて。
ルームメイト:なるほど、そういうスケジュールだったんだね。じゃあ電話は自分の部屋でするよ。
アレックス:助かるよ。ほかは問題なさそうだし、いい同居生活になりそう。
ルームメイト:同感。黙って我慢するより言ってくれてよかった。
どんな場面で効果的に使えるのか
会話例からおわかりのように、例えば以下のような状況で特に力を発揮しますが、これに限りません。
- 仕事の選考結果を伝えるとき
「あなたが悪いわけではなく、今回は別の理由がある」と示せる。 - 境界線を伝えるとき
「個人的に嫌いなわけではなく、必要なルールなんだ」と伝えられる。 - ビジネス上の判断を説明するとき
個人への評価ではなく、組織的な事情であることを示せる。 - フィードバックを渡すとき
相手の人格ではなく、改善点にフォーカスできる。
逆効果になるケースもある
便利な表現ですが、使い方を誤るとかえって冷たく聞こえることもあります。
- 理由を説明せずに使う
- すでに厳しい言葉を言った “後” に付け足す
- 声のトーンが冷たい
- 実際には個人的な感情が混ざっている
たとえば、
「君の案は最悪だったよ。Nothing personal。」
これは完全に逆効果です。
「Nothing personal」は魔法の言葉ではなく、誠実さとセットで初めて機能します。
上手に使うためのシンプルな型
すぐ実践できるよう、簡単なテンプレートにするとこうなります。
1.クッション:Nothing personal,
2.理由:but we need someone with more experience.
3.敬意:I really appreciate your effort.
この3ステップが揃うと、相手に伝わる印象が大きく変わります。
まとめ
「Nothing personal」は、ただの決まり文句ではなく、相手の気持ちを守りながら本音を伝えるための小さな配慮 です。
このフレーズがうまく機能するのは、
- 相手の人格と状況を切り分けたいとき
- 率直なメッセージを柔らかく伝えたいとき
- 関係性を壊さずに「ノー」を言いたいとき
といった場面です。
ただし、使い方を誤ると逆に冷たく聞こえることもあります。大切なのは、
誠実な理由・温かいトーン・相手への敬意
この3つをセットで届けること。
言葉そのものよりも、その前後の会話や態度が信頼をつくるという点を押さえておくと、英語でのコミュニケーションがぐっとスムーズになります。
* * * * *
英語の発音のコツにご興味があれば、こちら⬇をご覧ください。
会話フレーズ表現集など、こちら⬇でご紹介しています。
英語の電話表現も含めて、ビジネス英語全般に関するおすすめ教材については、こちら⬇ をご覧ください。





