英日通訳のコツ・工夫のまとめ

通訳・翻訳
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この記事では、英日通訳で有益な工夫やコツをまとめています。主に、順送り訳(頭ごなし訳)をするための工夫です。

同時通訳を念頭においていますが、逐次通訳においても、当てはまる内容が多いでしょう。なぜなら、逐次通訳は同時通訳よりも訳に費やせる時間があるとはいえ、翻訳をするときのような時間の余裕はないからです。発話者が発話を区切るや否や即座に当該部分を訳出するのが原則です。

順送り訳(頭ごなし訳)練習の(1)(2)で、その一部はご紹介しましたが、今回の記事では、それも含めて、筆者にとって特に有益な工夫をほぼすべてまとめたつもりです。

意味のユニットごとに頭ごなしに訳す

意味のユニット」とは、センテンス(文)を何らかのまとまった意味を成すパーツに分けた場合の個々のパーツのことです。英日通訳では、基本的に意味のユニットごとに、頭から順に訳していく、順送り訳を心がけます。

例えば、文頭に「I think that」のような表現がある場合、訳の最初に「私の考えでは」、「思いますに」、「おそらく」などと言って片づけることもできます(参考:村松増美著『新編 私も英語が話せなかった』, pp. 92-93<>)。例文を2つ見ましょう。

I think you’ve got to remind people that everybody has an obligation – and obligation to defend the constitution, an obligation to do what’s right. (NBC News, October 23, 2022)

思いますに、人々に義務があることを思い出させなければならないのでしょう。憲法を守る義務、正しいことをする義務が誰にでもあるということをです。

Time will tell how this plays out in the medium to longer term but in the short run I think the rapid decision on Sunak is one the market seems to be applauding here this morning. (Reuters, October 24, 2022)

時間が経てば、これが中長期的にどのように展開するかはっきりするでしょうが、短期的には、どうやら、素早くスナク氏に決定したことを、当地の今朝の市場は歓迎しているようです。(「I think」を「どうやら~」と訳しています。)

実際のところ、どのような表現が使われていようとも、文型がどうであろうとも、基本的にはなるべく頭ごなしに訳すことを心がけます。もう一つ例を見ます。

Wakamiya started using computers at age 60 when she was caring for her elderly mother and finding it difficult to get out and socialize with friends. (CNN, March 2, 2017)

若宮さんがパソコンを始めたのは60才の時で、高齢の母親を在宅介護していて、外出や友人たちとの交流も簡単にはできなかったときです。

こういった順送り訳の効果は、訳をするために頭の中で語順を入れ替えたり情報を保持したりする度合いが減るので通訳者の負担が軽減されるとともに、話者の思考の流れを極力乱さないように聞き手に伝えるので訳を聞いている人にとって、話者の言いたいことが分かりやすい場合が多いのです。この点に関してはこちらも⇩ご覧ください。

品詞や構文にとらわれない

原文の名詞は必ず名詞として訳すとか、動詞は動詞として、副詞は副詞として訳すというような必要はないのです。例えば、上の2つ目の例文では「I think」(名詞+動詞)を「どうやら」(副詞)と訳しました。同様に、「I am sure ~」というような表現は、「きっと~(でしょう)」等と訳せますね。

通訳では、単語レベルの訳ではなく意味レベルの訳を心がけます。つまり、「日本語の単語→英語の単語」ではなく「日本語の表す意味→その意味を英語で表現する」ということです。

この点に関しては、こちらでも、少し考察しました。

品詞・構造にとらわれない訳例を見ましょう。

The artefact was discovered two years ago in a field in north Herefordshire by amateur metal detecting enthusiast Thomas Kelly from Mid Glamorgan. (Hereford Times, 6th November 2012)

この出土品の発見は2年前で、場所はヘレフォードシャー州北部の畑です。発見者は、アマチュア金属探知愛好家トーマス・ケリーさんで、ミッド・グラモーガンに住む人です。

これは、極端な訳例で、通常の速さの発話を同時通訳する場合は、このような通訳は難しいかもしれませんが、品詞にこだわる必要はないということを示しています。

発話者が比較的ゆっくり話している場合は、こういった訳出は大いに有効です。

では、別の例文を見てみましょう。

However, U.K. researchers have found that the risk of reinfection was eight times higher during the wave of the omicron variant than it was in last year’s delta wave. (MBC News, June 16, 2022)

しかし、英国の研究者が発見したのは、再感染リスクが、オミクロン変異種(の感染拡大)では昨年のデルタ(波)に比べて8倍高いということです。(括弧部分は、もしこれが翻訳ならば含めていると思いますが、通訳には含まなくても構わないでしょう。もちろん、求められている厳密性の高さにもよりますが。また、「デルタ波」という語句に関しては、見ればすぐに何のことかわかりますが、それを聞いた場合「波」があることによって、一瞬、あれは何だろう、と思ってしまう聞き手もいるかもしれません。)

通常の英文和訳方式ですと、「… U.K. researchers have found that …」という部分は、「英国の研究者は(that以下)ということを発見しました」のように訳すかもしれません。しかし、上の訳例では、「英国の研究者が発見したのは(that以下)ということです」と訳しています。

あと3つ例を見てみましょう。

Then the pilot announced that his several attempts to lower the landing gear at the plane’s nose had failed. (VOA News, 2019/05/31)

すると機長が機内放送で告げたのですが、何度か機首の着陸装置を下ろそうとも試みたものの、下りなかったということです。

通常なら、「his several attempts to ~~」というフレーズは「彼の何度かの試み」と訳すかもしれませんが、この名詞(句)を動詞的に訳しています。

A quick look at the United Nations’ definition of genocide shows that Abbott’s new policy fits three of the criteria. (MSNBC, March 4, 2022)

国連のジェノサイドの定義をざっと見るだけでも明らかですが、アボットさんの新政策は3つの基準に合致しています。

ここでも、「A quick look」という名詞(句)を動詞的に訳しています。

A little reflection will show us that these two kinds of prayer are neither opposites nor even discrete categories. (MSNBC, Nov. 7, 2014)

少し考えてみれば分かるのですが、この二つの祈りは対立するものでもなければ、個別のカテゴリーでもないのです。

この例でも、「A little reflection」という名詞(句)は動詞的に訳していますね。これでも構わないのです。これを英文和訳方式で「少しの考察が~~ということを示すでしょう」などと訳すと、聞き手に伝わりにくいかもしれません。

比較表現も順送りに訳す

Nothing is more important to me and Ned than our family, and all we request right now is that you respect our privacy for the sake of our kids. (Today, Oct. 4, 2022)

何よりも大切なのは、私とネッドにとっては家族なのです。今、私たちがお願いしたいのは、プライバシーを尊重していただくことです。子供たちのために。

この最初の部分を、「私とネッドにとって家族ほど大切なものはありません」と訳す必要はないのです。

いくつか例文を見ます。

Remember, nothing is more triggering for Trump than someone or something that’s attached to the name Obama. (MSNBC, September 12, 2022)

思い起こしてください。何よりもトランプさんを刺激するのは、オバマという名前につながりのある人や物なのです。

There are more Christians in Nigeria than in any single nation in traditionally Christian Western Europe. (Pew Research Center, December 19, 2011)

ナイジェリアほど多くのキリスト教徒がいる国は、伝統的にキリスト教文化圏である西ヨーロッパにもありません。

If, as seems likely, Trump is acquitted by the Senate, it will be as much the fault of senators’ constituents as it will be of the senators themselves. (NBC News, February 7, 2021)

もし、想定されるように、トランプさんが上院で無罪になれば、それは議員を選出した有権者の責任でもあります。議員自身の責任であるのと同様です。(最後の部分は、「もちろん議員自身の責任でもありますが」と訳してもよいでしょう。}

The Iraq war was as much the failure of policymakers as it was the flawed intelligence on which they relied. (NBC News, Dec 9, 2008)

イラク戦争は、政策立案者の失敗であると同時に、彼らが依拠した情報に間違いがあったということでもあるのです。

次は、『英語通訳への道』(p. 128)に含まれている例です。

The book was more interesting than most of others I have read this year.

この本は大変面白い本でした。今年に入って読んだ本の中でも、群を抜いていました。

他動詞を自動詞的に訳す

原文の動詞が他動詞だからと言って、必ずしも、それを他動詞として訳す必要はありません。自動詞的に訳しても良いのです。特にその主語が無生物主語の場合、自動詞として訳すと有効です。

Harvey burst the tall banks of Buffalo Bayou Park, flooding the city’s theater district and City Hall. (The New York Times, November 11, 2017)

この文を、他動詞を他動詞として訳すと次のようになるかもしれません。

大型ハリケーン「ハービー」が、バッファロー・バイユー・パークの高い堤防を決壊させ、市内の劇場街や市庁舎を水浸しにしました

この訳でも意味は通じるでしょうが、次のような訳のほうが、聞き手には分かりやすく自然に聞こえるのではないでしょうか。

大型ハリケーン「ハービー」によって、バッファロー・バイユー・パークの高い堤防が決壊し、市内の劇場街や市庁舎が水浸しになりました

同様の文を見てみます。

Transylvania County, south of Asheville, declared a state of emergency after 10 inches (25 centimeters) fell Monday, causing landslides, flooding roads and destroying at least one home. (AP News, August 18, 2021)

まず、通常の英文和訳方式で訳してみます。

アッシュビルの南に位置するトランシルバニア郡は、月曜日に10インチ(25センチ)の雨が降り、この雨が土砂崩れを引き起こし、道路を冠水させ、少なくとも一棟の家屋を破壊したため、緊急事態を宣言しました。

次に、通訳用の訳し方をしてみます。

アッシュビルの南に位置するトランシルバニア郡は、緊急事態を宣言しましたが、これは月曜日に10インチ(25センチ)の降雨があり、土砂崩れが起き、道路が冠水し、少なくとも住宅一棟が倒壊したためです。

もう一つ例文を見てみましょう。

The Senate voted Saturday to advance a sweeping climate and economic bill with the support of all 50 Democrats, bringing long-stalled elements of President Joe Biden’s agenda one step closer to reality. (NBC News, August 7, 2022)

上院は土曜日に、気候変動および経済に関する大規模な法案を可決しましたが、これには民主党議員50人全員が支持をしました。これによって、長い間停滞していたジョー・バイデン大統領の政策が一歩実現に近づいたのです。

この訳文では、「bringing」という他動詞を含む語句を自動詞的に訳しています。

1つの動詞(句)を2度訳しても構わない

原文では1つの動詞(句)であっても、和訳では、その意味を2つの動詞(句)で言い表しても構いません。この点に関しては、こちら及びこちらで例文をご紹介しました。

そのうちの一例をご覧ください。オバマ大統領のコペンハーゲン会議でのスピーチの一部です。

And yesterday, Secretary Hillary Clinton, my Secretary of State, made it clear that we will engage in a global effort to mobilize $100 billion in financing by 2020, if — and only if — it is part of a broader accord that I have just described. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

そして昨日、ヒラリー・クリントン国務長官は、世界的な取り組みへの参加を表明し、2020年までに1000億ドルの資金動員を目指すと述べました。もっとも、これは、この取り組みが今申し上げたような広範な協定の一部であるということを条件としています。

原文の「made it clear」という1つの動詞句に対して、訳では、「表明し」及び「述べました」と2つの述語表現を使っています。これは、順送り訳(頭ごなし訳)をしていて、和訳の文末で述語がもう一度必要になったからです。

これに関して一つ気を付けたいのは、できれば、訳ではまったく同じ表現を2度使うのではなく異なる言い方をするほうが望ましいということです。例えば、「・・・世界的な取り組みへの参加を表明し、2020年までに1000億ドルの資金動員を目指すと表明しました」などと訳すと、少しぎこちないと思います。同意語や同意表現を多く持ち合わせているといいですね。

従属節がセンテンスの後半にある場合も順送り訳

従属節、つまり「because」、「if」、「when」などで始まる節ですが、それがセンテンスの頭ではなく後ろのほうにある場合の訳し方も、可能な限り順送り訳(頭ごなし訳)をします。例をいくつか見てみましょう。再びオバマ大統領のスピーチの一部です。

We come here in Copenhagen because climate change poses a grave and growing danger to our people. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

私たちがご当地コペンハーゲンに来たのは、気候変動が重大かつ増大する危険を人々にもたらしているからです。

「~のは~からです」という訳し方をしています。

センテンスが比較的長い場合は、いったん切ることが有効なこともあります。

We’re convinced, for our own self-interest, that the way we use energy, changing it to a more efficient fashion, is essential to our national security, because it helps to reduce our dependence on foreign oil, and helps us deal with some of the dangers posed by climate change. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

我々は自己利益の観点から確信しているのですが、エネルギーの使用方法を変えて効率を上げることは、国家安全保障にとって不可欠なのです。それは外国産石油への依存を減らすとともに、気候変動がもたらす危険に対処するのに役立つからです。

「no matter what ~~」のような従属節が最後にある場合も、可能であれば、頭ごなしに訳していきます。

So I want this plenary session to understand, America is going to continue on this course of action to mitigate our emissions and to move towards a clean energy economy, no matter what happens here in Copenhagen. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

ですから、この全体会議で明言致します。米国はこういった方針を継続し、排出緩和策と クリーンエネルギー経済への移行を進めます。これは、コペンハーゲン会議の結果に左右されません。

次の例では「if」を伴う従属節がセンテンスの最後にあります。

But we also believe that we will all be stronger, all be safer, all be more secure if we act together. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

しかし、私たち全員がより強く、より安全になり、安全保障を一層高めるためには、みんなが一緒に行動することだと信じています。

「~のためには~することだ」という訳し方ですね。

最後の例は「all while ~~」がつかわれているセンテンスです。

And we will be back having the same stale arguments month after month, year after year, perhaps decade after decade, all while the danger of climate change grows until it is irreversible. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

そうすれば、同様の陳腐な議論を、毎月、毎年、おそらく10年ごとに、繰り返すことになるでしょう。そしてその間、気候変動の危険は不可逆的になるまで増大していくでしょう。

関係節も順送り訳

関係代名詞節や関係副詞節も、原則として順送り訳(頭ごなし訳)をしていきます。

オバマ大統領のスピーチからいくつか例文を見てみます。

First, all major economies must put forward decisive national actions that will reduce their emissions, and begin to turn the corner on climate change. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

第一に、すべての主要経済国は、断固とした国内行動を打ち出し、排出量を削減して、気候変動への取り組みを開始しなければなりません。

Number three, we must have financing that helps developing countries adapt, particularly the least developed and most vulnerable countries to climate change. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

第三に、資金を確保して、途上国、特に後発開発途上国で気候変動に対して最も脆弱な国々の適応を支援する必要があります。

America will be a part of fast-start funding that will ramp up to $10 billion by 2012. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

米国は、短期資金の一端を担いますが、これは2012年までに100億ドルに拡大する見込みです。

Or we can choose delay, falling back into the same divisions that have stood in the way of action for years. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

あるいは、先延ばしにし、分断に再び陥ることもできます。長年にわたり行動を妨げてきた選択肢です。

関係代名詞節や関係副詞節が、非常に短い場合は大した工夫も必要がないでしょうが、比較的長い場合は、その前でいったん切るのが賢明である場合が多いかと思います。

もう1つだけ例を見てみましょう。

Parents and caregivers should also make sure children do not consume too many gummy vitamins, which can be easily mistaken for candy…. … You definitely want to keep these in a safe place where kids can’t get their hands on them. (Today, Oct. 28, 2022)

また、親やその他の保護者が注意すべきことですが、子どもがグミタイプのビタミンを摂り過ぎないようにしたいものです。キャンディと間違えやすいですし。・・・そしてぜひとも安全な場所に置き、子供が手を出せないようしましょう。

「to 不定詞句」も順送り訳

関係説と同様に、「to 不定詞句」も順送りに訳せる場合があります。

That’s why we’ve worked with other nations to phase out fossil fuel subsidies. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

だからこそ、我々は他の国々と協力して、化石燃料への補助金を段階的に廃止してきているのです。

So I want this plenary session to understand, America is going to continue on this course of action to mitigate our emissions and to move towards a clean energy economy…. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

ですから、この全体会議で明言致します。米国はこういった方針を継続し、排出緩和策とクリーンエネルギー経済への移行を進めます。

While we aim to provide accurate product information, it is provided by manufacturers, suppliers and others, and has not been verified by us. (NBC News, July 18, 2017)

私たちが目指しているのは正確な製品情報を提供することですが、この情報はメーカーやサプライヤーなどから提供されており、当社で確認したものではありません。

文頭の副詞句は即座に訳出

文頭の副詞句は、原則として、即座に訳出できるのではないかと思います。例外もあるかもしれませんが。

Now, as the world’s largest economy and as the world’s second largest emitter, America bears our responsibility to address climate change, and we intend to meet that responsibility. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

世界最大の経済大国として、また世界第2の排出国として、米国は気候変動に対処する責任を負っており、我々はその責任を果たすつもりです。

After months of talk, after two weeks of negotiations, after innumerable side meetings, bilateral meetings, endless hours of discussion among negotiators, I believe that the pieces of that accord should now be clear. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

数カ月にわたる話し合い、2週間の交渉、無数の分科会、二国間協議、交渉担当官の間での果てしない議論の末、私は、この協定の主要部分は今や明確だろうと思います。

「~のは」、「~ですが」、「~でしょうが」、「~しましたが」、「~けれども」などの表現を駆使

このような表現を使った訳例は、上にもありました。そのいくつかを書き出します。

We’re convinced, for our own self-interest, that….

我々は自己利益の観点から確信しているのですが・・・

While we aim to provide accurate product information….

私たちが目指しているのは正確な製品情報を提供することですが・・・

Parents and caregivers should also make sure….

また、親やその他の保護者が注意すべきことですが・・・

However, U.K. researchers have found that the risk of reinfection was eight times higher during the wave of the omicron variant than it was in last year’s delta wave.

しかし、英国の研究者が発見したのは、再感染リスクが、オミクロン変異種(の感染拡大)では昨年のデルタ(波)に比べて8倍高いということです。

Time will tell how this plays out in the medium to longer term….

時間が経てば、これが中長期的にどのように展開するかはっきりするでしょうが・・・

こういった有益な日本語表現については、さらに詳しく別の記事でご紹介する予定です。

日本語訳が分からない語句の対応策

もしも通訳中に日本語訳が浮かんでこない単語や語句があったら、どう対応すればよいのでしょうか?

私は次の3つの策のどれかを使います。

(1)英語のまま訳にあてはめていく

1つ目は、少しずるいですが、あたかも既に日本語の語彙に入っているかのように、カタカナ発音して、訳文にはめ込んでいくということです。例えば、発話の中に次のセンテンスがあったとします。

America will be a part of fast-start funding that will ramp up to $10 billion by 2012. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

通訳していて、「fast-start funding」の訳語が思いつかなかったとします。私なら、この場合はおそらく次のように訳すでしょう。

米国は、ファストスタート資金の一端を担いますが、これは2012年までに100億ドルに拡大する見込みです。

この「fast-start funding」は、気候変動対策の文脈では、だいたい「短期資金」と訳されるようですが、仮に、上のようにカタカナ読みで処理したとしても、何とか聞き手はスピーチについてきてくれるかと思います。

(2)上位語で置き換える

もう1つの方策は、訳語が分からない単語(語句)の上位語(その言葉が意味する概念の範囲を含めるさらに広い範囲の概念を意味する言葉)で置き換えるということです。例えば、発話の中に「black-headed gull」という語句が出てきた場所、その訳語は思いつかないが「gull」の一種だと分かっているのなら「カモメ」と訳すことも1つの手です。(発話者が、様々なカモメの種類の話を詳しく論じているのであれば、この方策はふさわしくないかもしれませんが。)

(3)羅列の場合は「など」と言う

3つ目は、いくつかのものがリストアップされていて、その中に訳語が思いつかないものがある場合の方策です。例えば、仮に発話の中に次のような部分があるとします。

The hurricane center warned of the danger of flooding and mudslides from heavy rains. It said the storm could drop 4 to 6 inches of rain on Belize, the Bay Islands, northern Guatemala, the eastern portion of Mexico’s Chiapas state and the Mexican state of Tabasco. (NBC News, Nov. 3, 2022)

1つ目の文は「ハリケーン・センターは、大雨による洪水や土砂崩れの危険性を警告しました」と訳すことができたと仮定します。

しかし、2つ目の文に含まれる地名の羅列の中で、「the eastern portion of Mexico’s Chiapas state」の訳が即座に思いつかないという状況を想定してください。どうしますか?私なら、その場合は、「ベリーズ、湾岸諸島、グアテマラ北部やメキシコのタバスコ州などでは、嵐によって 4 インチないし 6 インチの雨が降る可能性があるとのことです」と訳すと思います。

時間が無い(ついていけない)ときは一部簡略化

発話者が非常に早口の場合など、何かを省略しないと一定の時間内に訳を収めることができないということが時々あります。

原文情報の一部を省略せざるを得ない場合は、当然のことながら、発話の文脈で重要だと思われる語句は省きません。例えば、何度か使ったオバマ大統領のスピーチから2つの文を見てみます。

For while the reality of climate change is not in doubt, I have to be honest, as the world watches us today, I think our ability to take collective action is in doubt right now, and it hangs in the balance. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

この部分を通訳していて、もしも、時間内にすべての情報を入れることができなければ、どこを省くでしょうか?私なら、最後の「and it hangs in the balance」を省略します。なぜなら、その直前の「… is in doubt」と同様の意味内容を表現している部分だからです。そこを省いても、スピーチの重要なところはすべて聞き手に届きます。

But we also believe that we will all be stronger, all be safer, all be more secure if we act together. (President Obama, December 18, 2009 [出典:American Rhetoric])

この文を訳していて時間が十分ない場合は、どこを省きましょうか?私なら、「all be safer」あるいは「all be more secure」のどちらかです。この2つの部分の意味は類似しているからです。

なお、すべての情報を訳す時間がない場合に、当該部分に羅列があるのでしたら、先ほど考察した「など」という表現を使うことも、選択肢だと思います。

数字

発話の中に数字が聞こえてきたら、即座にメモに取ります。同時通訳をしているときも、ペンとメモ用紙はかならず持っています。記憶保持が難しそうな語句が聞こえてきたら即座に書き留めます。数字は、その良い例です。あと、人名や社名などの固有名詞も頭に残りにくい場合はメモをします。

むすび

以上、英日通訳のコツ・工夫について、思いつくままに書いてきました。また、追加の工夫などが浮かんで来たら、付け加えようと思います。

* * * * *

★ 通訳に関心がある人にとって読む価値のある本を、こちらで ⇩ 紹介しています。

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