要人等の敬称・呼称

通訳・翻訳
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今回は、外国の高官等の要人に対して使うべき敬称・呼称を確認しましょう。

はじめに

要人と言っても様々ですが、私自身がこれまでに通訳者としてかかわりがあったのは大使です。外国の大使が公式ではなくプライベートな立場で、訪問先でホスト側と面談や食事をするという場での通訳を、2、3度担当させて頂きました。公式訪問ではないとはいえ、やはり、大使は大使ですから、このような通訳をするときは正確な敬称・呼称を使うことに気を使います。

以下では、そういった外国の要人の敬称・呼称について、原則的なことを確認していきます。

一点、留意すべきことは、国によって敬称・呼称に関する慣例が異なる場合もあることから、正確性を期すために、相手国関係者に確認することが大切です。

敬称・呼称(一般的な原則)

それでは、知っておきたい敬称・呼称をいくつか見ていきましょう(外務省ホームページの「国際儀礼の基本講座 ~その30~」及び「国際儀礼の基本講座 ~その13~」を加工して作成)。

博士号や職業上のタイトルを持たない一般人: Mr. {Mrs., Miss, Ms.} + 姓

博士号を持つ人: Dr. + 姓

国王(女王)陛下:Your Majesty

国王王妃両陛下:Your Majesties

皇太子殿下(皇太子妃殿下):Your (Royal または Imperial) Highness

皇太子同妃両殿下:Your (Royal または Imperial) Highnesses

王族、皇族、大公殿下:Your (Royal または Imperial または Serene) Highness

王族、皇族、大公殿下夫妻:Your (Royal または Imperial または Serene) Highnesses

大統領閣下:Your Excellency またはMr. {Madam} President

大統領閣下夫妻(首相以下の「閣下夫妻」もこのパターン):Your Excellency {Mr. President} and Mrs. + 姓(米国){男性のフルネーム(欧州)}{またはYour Excellency {Madam President} and Mr. 男性のフルネーム}

首相閣下:Your Excellency またはMr. {Madam} Prime Minister

閣僚閣下:Your Excellency またはMr. {Madam} Minister (Secretary)

大使閣下:Your Excellency またはMr. {Madam} Ambassador

知事、市長:Mr. (Madam) Governor, Mr. {Madam} Mayor

Sir、Dame、Lady

使い方で気を付けたい称号(title of honor)として「Sir」(サー)があります。英国で「knight」(ナイト)や「baronet」(準男爵)の名前に付ける場合のことですが、「Sir」はフルネームあるいはファーストネームにつけます。ラストネームの直前には付けません。例えば現在の労働党党首キア・スターマー氏は2014年に「knight」の栄を受けており「Sir」を付けて呼びますが、そのさい「Sir Keir Starmer」あるいは「Sir Keir」と呼びます。「Sir Starmer」ではありません。

女性の場合、「knight」に相当するのは「Dame」(デイム)で、この栄を受けていれば、「Dame」(デイム)が使われます。その使い方は、「Sir」と同様で、ラストネームの直前には付けません。例えば、ハリーポッターシリーズのマクゴナガル先生を演じた女優は「Dame Maggie Smith」あるいは「Dame Maggie」と呼ばれ、「Dame Smith」ではありません。

なお、「knight」や「baronet」の妻に用いる尊称については、現在では、ラストネームの直前に「Lady」(レディ)を付けます。つまり、Sir Keir Starmerを例にすれば、彼の妻の名前はVictoria Starmerですので、「Lady Starmer」となり、「Lady Victoria Starmer」とは呼びません。この夫妻を指す場合は、「Sir Keir and Lady Starmer」と言えば良いですね。

ちなみに、女性のフルネームに「Lady」を付けるのは、「Duke」(公爵)、「Marquis」(侯爵)、「Earl」(伯爵)などといった貴族の令嬢や、「Order of the Garter」(ガーター勲章)や「Order of the Thistle」(シッスル勲章)を受けた女性でそれ以上の爵位などをもっていない場合に限られています。有名なダイアナ妃は、1975年に父親が「title of Earl Spencer」(スペンサー伯爵位)を継承したのに伴って、Ladyの称号を得て「Lady Diana Spencer」となりました。

用例

敬称・呼称が使われている例文を見ましょう。まず、1989年にエジプトのムバラク大統領夫妻を迎えて開かれた公式晩餐会でのジョージ・H・W・ブッシュ大統領の乾杯の挨拶からです。

Mr. President and Mrs. Mubarak — your beautiful Suzanne — I raise my glass in your honor, proud of your friendship, thankful for your leadership.

次の例は、2014年にアフガニスタンに関するロンドン会議が開催された際のフィリップ・ハモンド英国外務・英連邦大臣の挨拶からです。

Your Royal Highnesses, Your Highnesses, Ministers, Excellencies, Ladies and Gentlemen, I am delighted to welcome you to Lancaster House and to be joined by Chief Executive Abdullah Abdullah in opening the London Conference on Afghanistan. We look forward to being joined by President Ghani this afternoon.

最後に、2013年ロンドンのチャタムハウスで開催された初年度の会議「日英グローバルセミナー」での、ヒューゴ・スワイヤー英国外務省大臣の挨拶からです。

Your Excellencies, Ambassadors, my Lords, Ladies and Gentlemen. It is a privilege to be here today, to lead the discussion on an important topic — the strategic partnership between the United Kingdom and Japan — and to do so in such a prestigious forum.

参考書

今回は、要人などに使う敬称・呼称を見てきました。こういったことも含め国際儀礼(プロトコール)についてまとめられた参考書としては『国際儀礼に関する12章―プロトコール早わかり』がお勧めです。

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