ようこそ「通訳訓練シリーズ」へ。今回は英日同時通訳の練習の3回目です。
練習教材
今回の教材は European Commission の Directorate-General for Interpretation が運営するSpeech Repositoryに含まれる通訳者養成用教材です。「Global warming」というタイトルのスピーチ(speech number: 29259)で、長さは6分程度です。Speech Repositoryにはビデオという形で保存されていますが、この通訳訓練シリーズではそれを MP3 の形に加工したものを使用します。また、冒頭で発話者の名前や立場が言及されている部分の音声は削除していますので、発話者が誰なのかは分からないようになっています。
発話者はイギリス英語で話しています。
Speech Repositoryのサイトでは、この教材は同通練習用のスピーチで、中級者レベル(Intermediate)とされています。
スピーチが扱っている分野は気候(Climate)及び環境(Environment)です。
同じ発話者は気候・環境に関して別のスピーチをすでに行っており、今回使用するスピーチの冒頭部分で、そちらのスピーチに言及しています。そのスピーチの中で特に焦点を当てているのは牛の口蹄疫対策や環境問題における、Sir David King(デイビッド・キング卿)という科学者の貢献です。
有益な語彙
Speech Repositoryのサイトに語彙(Terminology)が書き出されています。これに参考のための和訳を添えて下に記しておきます。
- Sir David King:デイビッド・キング卿
- to come to the forefront:第一線に立つ
- Tony Blair:トニー・ブレア
- foot and mouth disease:口蹄疫
- to curb:抑える
- Greenland ice sheet:グリーンランド氷床
- to creep up on us:迫ってくる
- Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC):気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
- the Paris Agreement:パリ協定
- Al Gore:アル・ゴア
- Brad Pitt:ブラッド・ピット
- Greta Thunberg:グレタ・トゥーンベリ
- Extinction Rebellion:「エクスティンクション・リベリオン(絶滅への反乱)」という運動
- Climate Attachés:気候担当官
- to go green:グリーン化を推進する
- kelp:昆布
同時通訳をする前に、英語を見て即座に和訳が口からスラスラと出てくるようにしておきましょう。
通訳練習
プレーボタンの下の参考訳出例はあくまでも一例です。
では、プレーボタンを押して同時通訳練習をしていきましょう。
参考訳出例




まとめ
今回は英日同時通訳練習の3回目でした。今回は、アメリカ英語ではなくイギリス英語の教材を用いました。実際の通訳では、どのような英語を話す発話者の通訳を担当することになるかは、通訳者が必ずしも選べません。様々な英語の通訳をすることに慣れておくことが賢明です。私も、アメリカ人やイギリス人のみならず、それぞれの訛りのあるイタリア、ポルトガル、フランス、ドイツなどのヨーロッパの国に加えて、インド、スリランカ、ミャンマーなどアジアの国の発話者の通訳を担当したこともあります。非常にわかりにくい発言の同通のときに、早く終わってほしいと願ったことを思い出します。
技術向上のために、今回のような練習をたくさんしましょう。練習用の音源は、ネット検索すればたくさん見つかります。これまでもご紹介した、American RhetoricやSpeech Repositoryのみならず、例えば、TED、NPR、VOAなど様々なサイトを試してみましょう。
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