ようこそ「通訳訓練シリーズ」へ。今回は日英同時通訳練習です。
前回は日英同時通訳の基礎訓練を扱い、比較的通訳しやすい原文をいくつかご紹介しました。今回の原文は、難易度が上がっています。もう一度、初歩的な原文の同通練習をして頭を通訳モードにしてから今回の教材に取り組もうと思われる方はこちら ↓ をご覧ください。
また、日英通訳のコツ・工夫のおさらいする方はこちら ↓ をどうぞ。
日英サイトラ(サイト・トランスレーション)のおさらいはこちら ↓ をどうぞ。
また、今回の通訳練習で使用する原文には、やや大きな数字が含まれています。数字の訳出について、おさらいをする方はこちら ↓ をご覧ください。
訓練の目的
今回は実際に日英同時通訳の練習をしていきます。通訳のコツ・工夫や方法を学んだりすることは、もちろん有益ですが、それだけでは通訳のスキルは上達しません。実際に自分の耳と頭と口を使って通訳練習をすることが、技術向上には不可欠です。しかも、たくさん練習をしなければいけません。そのとっかかりとなることを期待して、練習教材とその通訳例を一つご紹介します。
練習教材
原文は2016年9月1日に行われた日・ネパール外交関係樹立60周年記念式典での岸外務副大臣の挨拶で、外務省ホームページからダウンロードしたものを加工して使用しています。原文の長さはA4で1ページ半くらいです。
内容は、過去60年にわたってはぐくまれてきた良好な友好関係を概観するとともに、還暦を迎えた日・ネ関係が次の60年に向けて志を新たに門出しようとしていることを強調しています。具体的には、日本人にとってのネパールの魅力、東京で開催された「ネパールフェスティバル 2016」、ネパールが地域の安定と発展に果たしうる役割、前日にネパール政府との間で「主要空港航空安全設備整備計画」(約14.5億円)と「学校セクター開発計画」(3億円)の無償資金協力に係る書簡の交換を実施したことなどに言及しています。さらに、両国は共に地震災害の多い国として助け合いの歴史があるとして、東日本大震災の際にネパールから受けた支援や 2015 年のネパール大地震後の日本からの支援にも触れつつ、今後も協力していきたい旨を述べています。
有益な語彙
通訳練習に入る前に、このスピーチの通訳で有益な語彙を確かめましょう。
- ダハール首相:The Right Honourable Prime Minister Dahal
- マハト外務大臣:The Honourable Minister for Foreign Affairs Mahat
- カルキ情報通信大臣:The Honourable Minister for Information and Communications Karki
- ナマスカール:Namaskar
- 日・ネパール外交関係樹立60周年:the 60th anniversary of the establishment of diplomatic relations between Japan and Nepal
- 防衛大臣政務官:Parliamentary Vice-Minister of Defense
- 友好関係:friendly relationship
- 「ネパールフェスティバル2016」:the Nepal Festival 2016
- 「主要空港航空安全設備整備計画」(約14.5億円):“Project for Improvement of Aviation Safety Facilities in Major Airports”
- 「学校セクター開発計画」(3億円):“School Sector Development Program” (300 million yen)
- 無償資金協力:grant aid
- 書簡の交換を実施する:exchanged notes
- 総額約166億円の円借款:ODA loan of around 16.6 billion yen
- 東日本大震災:the Great East Japan Earthquake
- カレーの炊きだしを行う:serve curry dishes
- 切れ目のない支援:seamless support,
- カトマンズのダルバール広場:Kathmandu Durbar Square
- 心の拠り所:a source of comfort
- 観光資源:tourism resource
- 文化遺産:cultural heritage
- 60歳を「還暦」として,人生の節目を祝う:celebrate turning 60 as “Kanreki,” a turning point in life
- 本年両国で開催される周年行事:anniversary events being held in both countries this year
通訳練習
では、下のプレーボタンを押して同時通訳練習をしていきましょう。
参考訳出例
通訳例はこちらをご覧ください。
まとめ
今回は日英同時通訳練習を行いました。通訳技術向上には、こういった練習をたくさんすることが重要です。様々な日本語原文を使って通訳練習をしましょう。また、同じ原文を使って何度も練習をすることも有益です。今回の原文も繰り返し使って通訳練習しましょう。
★ 通訳に関心がある人にとって読む価値のある本を、こちらで ⇩ 紹介しています。
★ 「順送り訳」のコツや、「意味のユニット」や、「スラッシュ・リーディング方式の訳」等をおさらいする方は、この2つの記事 ↓↓ をご覧ください。