TOEFL iBT の Speaking Section Question 1 は、2つの選択肢からどちらかを選んで、その理由を英語でしゃべるっていうことだけど、コツはあるの?対策はどうしたらいいんだろう?
以下は、このような疑問に答える記事です。
Speaking Section Question 1 の概要
・リーディングやリスニングは含まず、自分自身が持っている知識や情報や経験だけを基にしてレスポンス(解答)を話すことを求める形式の問題です。いわゆる「independent task」という部類の問題です。一般的なトピックに関する問題が出ます。
・質問文は、ナレーターが読み上げてヘッドホンから聞こえてくると同時に画面にも表示されます。レスポンス(解答)の時間が終わるまで画面に残っています。画面には、準備時間15秒・解答時間45秒という情報が表示されます。
・質問文の読み上げが終わると、自動的に15秒の準備時間が始まり、その次に45秒の解答時間が始まります。
・2つの選択肢が与えられ、自分ならそのうちのどちらを選ぶのかを話すよう求められます。レスポンス(解答)は、どの選択肢を選ぶのかを明確に示すだけでなく、そちらを選ぶ根拠を含める必要があります。つまり、理由や具体例などを話すということです。
2つの選択肢とは。
もう少し詳しく言うと、2つの行動、状況、意見などで、具体的には、例えば、自宅で勉強するのか図書館で勉強するのか、大学では幅広い分野の勉強をすべきなのか限られた分野に集中すべきなのか、学生は大学寮に住むべきかアパートなどに住むべきか、テレビは人類に有益か有害か、等です(ETS の『The Official Guide to the TOEFL iBT Test』を参照)。
問題例を2つ ETS が提供している資料から引用します。
Some people think it is more fun to spend time with friends in restaurants or cafés. Others think it is more fun to spend time with friends at home. Which do you think is better? Explain why.
Some students study for classes individually. Others study in groups. Which method of studying do you think is better for students and why?
以上が Question 1 の概要です。
次に、どんなレスポンスを話せば高得点が得られるのかを詳しく検討しましょう。
レスポンスの構成
Question 1 のレスポンスの構成についてですが、「導入、本論、結論が無いと得点は低い」という事はありません。ETS の採点基準には、そんな事は書いてありません。ETS の Video Library に掲載の対策ビデオでも、このようにしゃべっています。
It’s not necessary to organize your response into an introduction, a middle and a conclusion like you would with a written essay. Just speak naturally and use common connecting words. Some of those are: “because,” “so,” “after that,” “on the other hand,” “I also want to mention,” and “what this means is.”
ブログ筆者の試訳
スピーキングのレスポンスは、ライティングの小論文のように「導入」「本論」「結論」という構成に組み立てる必要はありません。とにかく自然な感じでしゃべって、一般的に使われる接続表現で話をつなげていけばいいのです。「なぜなら」「ですから」「その後」「一方で」「もう一つ言いたいのですが」「つまりこの意味は」といった接続表現です。
要するに、形式は重要ではないのです。
レスポンスの内容
重要なのは内容です。
気を付けたいことは下の4つ。
- 質問の要求に応える。
- 自分の意見を明確に話す。与えられた2つの選択肢のうち自分ならどちらかを選ぶのか。
- 自分の意見に説得力を待たせるための根拠(理由や具体例)を話す。
- レスポンス全体が首尾一貫して論理的であるように話す。
当たり前のことですが、質問に対応しない内容をしゃべっても点はもらえません。
また、言いたいことが聞き手(採点者)に明確に分かるようにしゃべらないと、良い点はもらえません。何が言いたいのか分からないという話し方は避けましょう。はっきりと、ストレートに自分の意見を言いましょう。
その意見は、根拠や裏付けが無いと説得力に欠けます。聞き手を納得させるために、例えば、意見の理由や具体例や個人体験を話しましょう。Speaking Section の概要の記事で確認したように 5W1H を念頭において、なるべく具体的な内容を話しましょう。
そして、レスポンスの内容全体が首尾一貫しており、話の進め方が論理的であれば高得点をもらえます。論理的に筋道を立てて展開すれば、聞き手(採点者)にとって解かりやすく納得しやすいレスポンスになるからです。
レスポンスの内容に関する対策
インターネット検索を利用
Question 1 では、一般的な話題について2つの対立する立場・意見が示され、受験者は2つのうちのどちらかを選んで、それを支持する理由や具体例をしゃべるという形ですね。
もしQuestion 1 が難しそうだなと感じたら、ネット検索を利用して、この種の議論はどの様に展開すれば説得力を持つのかを探るという対策もできます。難しく感じる主な理由の一つは、立場や意見を支持するための理由や具体例などが思いつかないということかも知れませんね。
Question 1 で取り上げられる話題は、一般的に広く議論されている話題です。練習問題などで使われている話題をネット検索すればそういった話題を様々な立場から議論しているサイトがたくさんヒットするでしょう。
一例を考えてみると、「学生は大学寮に住むべきか街のアパートに住むべきか」という話題も、Question 1 で取り上げられるかもしれない話題です。次のような問題が出るかもしれませんね。
Some students prefer to live on campus in a dormitory. Others prefer to live in an apartment or house off campus. Which do you think is better? Explain why.
寮かアパートかという話題は、実際にネットでよくお目にかかります。試しに、dormitories or apartments と検索してみてください。そしてヒットしたサイトの中で有益そうなものをいくつか読んでみましょう。議論を展開するのに必要な理由や具体例などがいくつか見られるでしょう。
同じように、Question 1 で取り上げられそうな話題をいくつか検索してみましょう。
誤解を避けたいのですが、この対策方法は、議論で使える理由や具体例をネットで見つけて暗記することではありません。むしろ、複数の議論に触れることによって、英語で議論するコツを身に着けるということ、つまり英語での議論に頭を慣れさせるということです。どのような理由や具体例が議論の根拠として受け入れられやすいのか、また、それをどのように説明すればいいのか、といったことに注目しながらヒットしたサイトを読みましょう。
ETSのアドバイス
ETSのVideo Libraryに掲載の対策ビデオには、具体的なアドバイスが含まれています。
その要点の一部を見てください。
・準備時間で、考えをまとめよう。
・話す内容のメモをざっと書こう。詳しいメモはやめよう。
・ライティングの様な構成は必要なく自然な感じで話せばよい。接続表現で話をつなげていこう。
・一般的なトピックについて話す練習をしよう。トピックは何でも良くて、例えば自分の良く知っている場所だとか個人体験などでもよいし、昨日自分がしたことでもいいのです。
・時間を計って練習しよう。15秒考えて話す準備をしてから、45秒間しゃべり続ける練習をしよう。
・自分が話しているのを録音して聞き取りやすいか確かめよう。
便利な表現
レスポンスを話す時に使える便利な表現(フレーズ)を学んで実際のテストでスラスラと口をついて出てくるようにしておきましょう。
便利な表現の例をいくつか見てください。
出だしの表現
• I believe. . . .
• I think. . . .
• It seems to me. . . .
• I’d feel / say / suggest. . . .
• In my opinion. . . .
注意点
レスポンスをしゃべる時間が45秒しかないので、長い冗長な導入は賢明ではありません。自分の意見をストレートに話しましょう。
1つ目の理由や具体例を話すとき
• One reason is that. . . .
• One example is. . . .
• One of the things that I . . . is
• . . . because. . . . (例文:I think it’s better to live on campus because everything you need as a student is there. . . .)
• 自分の意見を述べた後、特に理由を示す表現やフレーズを使わずに理由を説明し始める。(例文:I think it’s better to live on campus. Everything you need as a student is on campus. For example, the library, which. . . .)
避けたほうが良いフレーズ
The first reason is that. . . .
聞き手(採点者)としては、「first」が聞こえてきたら、後で「second」が来るだろうと自動的に考えます。ですから、「first」と言ったものの、いつまでたっても「second」を言わないというようなレスポンスは非論理的だという印象を与えます。
最初から理由が2つハッキリと自分の頭にあって、両方とも説明できるのなら、この表現を使っでも良いでしょう。しかし、2つ目の理由まで話せないかも知れないと感じたら、このような表現はさけましょう。
むしろ、上で見たように、One reason is that. . . . などの表現を使うとか、自分の意見を述べた後すぐにbecause とつなげて理由をしゃべるとか、あるいは特別な表現は使わないで、理由を話し始めましょう。
2つ目の理由や具体例を話すときの表現
2つ目の理由や具体例などをしゃべるときは、転換語と呼ばれる表現を使って聞き手が話について行きやすいようにしましょう。例えば、
• Another reason is. . . .
• Also. . . .
• Furthermore. . . .
• Moreover. . . .
• I also want to mention. . . .
• Another thing I’m reminded of is. . . .
• Another thing worth mentioning is. . . .
例をあげるときの表現
• For instance, . . .
• For example, . . .
• Take . . . for instance
• . . . is a case in point
経験などを導入する接続表現の例
• I usually. . . .
• When I was there. . . .
• When I was in high school. . . .
• I used to. . . .
• One day I was. . . .
逆接の表現
逆接も便利な場合がありますね。少し譲歩して、自分の主張とは違う立場があることを認識していると述べたうえで、本来言いたい意見を話すときなどです。いくつか逆説表現の例を挙げます。
• However / Yet / But. . . .
• Nevertheless / Nonetheless, . . .
• On the other hand, . . .
• Contrary to. . . .
• Although / Even though. . . .
• Whereas. . . .
• Having said that, . . .
結論の表現
結論は不要です。言わなくても減点されません。しかし時間が余っているので何か締めくくりをしゃべりたいのなら、例えば、
• For this reason. . . .
• So this is why. . . .
このようなセンテンスを1つしゃべればいいでしょう。
その他の表現
ほかにも便利な接続表現はたくさんありますが、特に有益なものをこちらに挙げています(ライティングの記事ですが)ので参考にしてください(既に見たものと若干重複します)。
答え方の具体的な説明
それでは、どのように Question 1 のレスポンスを話せばよいのか、例題をいくつか用いて見ていきましょう。
まずは、上のSpeaking Section Question 1 の概要で例に挙げた最初の例題です。
例題1
Some people think it is more fun to spend time with friends in restaurants or cafés. Others think it is more fun to spend time with friends at home. Which do you think is better? Explain why.
この問題へのレスポンスでは、まず自分の意見をはっきりとしゃべります。つまりレストランやカフェで友人と過ごすほうが楽しいのか、あるいは自宅の方が良いのかを明確に述べます。もし自宅の方が良いという意見を述べるのなら、なぜそう思うのかを、次に話します。聴き手が話を追っていきやすいように、5W1Hを思い出しながら一定程度具体的な情報をしゃべりましょう。理由や具体例や自分の経験などを盛り込んで説明すれば、なぜこの選択肢の方が良いと思うのか、聴き手に納得してもらえるでしょう。
レスポンスの具体的な手順
・まず、 どちらの選択肢を選ぶのかをはっきりと話す。もし自宅の方が良いという意見を主張するのなら、例えば、このように。
I think it’s better to spend time with friends at home.
・なぜ自宅の方が良いのか、理由を述べる。例えば。
For me, the quality of the whole experience, including bonding and connection, is much higher at home. In restaurants and cafés, we need to lower our voices to talk about private subjects. We might get distracted by all the chatting around us. Sometimes, a waiter or waitress comes to our table, which can interrupt our conversation. When we meet at home, there is no need to worry about others.
・追加の理由を述べる。または上の理由を別の側面から話す。例えば。
Also, it’s more relaxing to spend time with friends at home. If we are going to a restaurant or café, we will need to be suitably dressed and behave appropriately. In my house, I can wear any comfortable clothes I like. Stretching legs and walking around is not a problem. Neither is sitting in a sofa with feet up if I’m spending time with close friends. Moreover, I can listen to my favorite music at home, which helps me relax.
・追加の理由を述べる。または上の理由を別の側面から話す。例えば。
It’s also cheaper to spend time with friends at home. Even if I pay for all the food and drinks, it’s very likely to cost me considerably less than going out with friends and only paying for my own meal.
(・不要だが、時間があまれば、まとめを述べる。)
(So this is why I believe it’s better to spend time with friends at home than in restaurants or cafés.)
実際には、これほど長いレスポンスは45秒ではしゃべれませんが、どんな内容を話せばいいのかの一例として、必要以上の分量を書きました。理由を3つ入れましたが、通常は2つくらい話せば時間切れです。また理由が1つでも構いません。具体的な情報が盛り込んであり内容が充実していればいいのです。
ところで、上のレスポンスの例では、一つ目の理由を話す時に特別な理由を示す表現を使っていません。しかし、上で見たような表現を使うのもいいですね。例えば「because」を使って、
のようにつなげていってもいいわけです。
サンプル・レスポンス
ここで、ETSのVideo Libraryに掲載の対策ビデオに含まれているサンプル・レスポンスを聞いてみましょう(4:13からプリゼンターによる紹介)。これは、4点満点を獲得したレスポンスです。スクリプトは次の通りです。
I actually spend time with my friends in restaurants and cafés, almost never at home because my apartment is very small and there is just almost nothing to do. On the outside and café and restaurants, it’s much more — there are more people. The atmosphere is usually good. Maybe there’s some music playing. Usually we meet to discuss things and meet other people and meet people we do not know, possibly. There’s always a chance to get to know someone and it’s always exciting. For me, it’s much more exciting than just staying at home in the environment that I know and am familiar with. I think that’s boring.
参考になりましたか。ちなみに、単語数は109語です。
それでは、例題をあと3つ見てみましょう。レスポンスの例には、先ほど同様、45秒ではしゃべれないような分量を書きますが、どんな理由を話せばいいのかを示す一例としてご覧ください。
次の例題も、上のSpeaking Section Question 1の概要で例に挙げたものです。
例題2
Some students study for classes individually. Others study in groups. Which method of studying do you think is better for students and why?
レスポンスの具体的な手順
・まず、 どちらの選択肢を選ぶのかをはっきりと話す。もし一人で勉強するほうが良いという意見を主張するのなら、例えばこのように。
I think it’s better to study individually.
・なぜその方が良いのか、理由を述べる。例えば。
When students study on their own, they have control over their study schedule. They can study when they are most efficient. Some may work better at night, but others may work better early in the morning. Studying alone means that students can choose when to study and for how long, as well as when to take breaks. If students study in groups, they need to organize a schedule that works for everyone and that may not be most effective for individual students.
・追加の理由を述べる。または上の理由を別の側面から話す。例えば。
Studying alone also means that they can study in an environment that works best for them. Some students want to study in a public space, such as a library, where there are many people around them. Others prefer to study in their own rooms, with some soft music on. When students study individually, they can ensure that their study environment is most effective.
(・不要だが、時間があまれば、まとめを述べる。)
(So this is why I believe it’s better to study alone.)
例題3
次の例題は、上の「レスポンスの内容に関する対策」で見た問題です。
Some students prefer to live on campus in a dormitory. Others prefer to live in an apartment or house off campus. Which do you think is better? Explain why.
レスポンスの具体的な手順
・与えられた選択肢のどちらが良いと思うか述べるとともに、理由を述べる(下は because を使った解答例)。もし大学寮のほうが良いという意見を主張するのなら、例えば、このように。
I believe it is better for students to live in dormitories on campus because it is convenient. Going to class is just a matter of walking to another building on campus. The library, which is very important for students, is easy to access, as well. Students don’t have to catch a bus or drive half an hour to borrow a library book. They can also find all the necessary amenities within a short walking distance because there is usually a grocery store, a bank, a gym, a health center, etc. on campus. In addition, most universities offer a campus meal plan, which makes it unnecessary for students to cook their own meals. This means they have more time to study, pursue other activities, or relax.
・追加の理由を述べる。または上の理由を別の側面から話す。たとえば、
Moreover, living on campus gives a sense of community and security. Students can meet people and make friends more easily on campus. This can be very important especially for first-year students, who are new to the university. It is helpful to have friends who are going through the same challenges, such as living alone for the first time, and to be able to share ideas and experiences together. In addition, most campuses have 24 hour on-call security personnel, who are trained to ensure everybody is safe.
(・不要だが、時間があまれば、まとめを述べる。)
(So for these reasons, I think it is better to live on campus.)
例題4
State whether you agree or disagree with the following statement. Then explain your reasons, using specific details in your explanation.
“Learning through online courses is more effective than learning in the traditional classroom setting.”
(ETS Free Practice Test)
レスポンスの具体的な手順
・与えられたstatementに賛成か反対か述べて、その理由を説明する。たとえば、もしagreeなら、
I agree with this statement because learning online takes away the burden of commuting and saves students time, energy, and money. Online learners can concentrate more on studying as they don’t have to physically go to the classroom and back. They can use the money saved by not paying for gasoline or public transportation to purchase books and other study materials that help make learning more effective and enjoyable.
・追加の理由を述べる。または上の理由を別の側面から話す。たとえば、
There is also less pressure. The traditional classroom setting usually creates a competitive environment, but some students don’t handle the pressure well. I personally know some students who are suffering from stress and anxiety as a result of the pressure associated with school. It seems to me that students who are refusing to attend school are often doing so because of mental health issues related to the pressure of school. Online courses can mitigate this problem.
(・不要だが、時間があまれば、まとめを述べる。)
(So this is why I agree with the statement.)
以上が、Speaking Section: Question 1 得点アップの方法です。
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