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気候変動がもたらす健康被害が深刻化
気候変動がもたらす健康被害が深刻化していると、英国の医学誌『ランセット』に最近発表された2つの報告書が示しています。
この報告書は、世界各地の気候変動に関連する44の健康指標に注目しました。
その中には、熱中症による死亡、感染症、飢餓などが含まれています。
そのすべてが深刻化していると、マリーナ・ロマネロ氏は述べています。
彼女は、ランセットが主宰するプロジェクト「ランセット・カウントダウン」のリサーチ・ディレクターを務めています。
「世界は2.4℃の気温上昇に向かっており、気候と健康に関する不作為のコストは、今行動することのコストを大幅に上回るだろう」と報告書は述べています。
今年の報告書は、「健康的な未来に赤信号」という題名です。
1つは米国を中心とした報告、もう1つは世界全体を中心とした報告です。
報告書では、危険な傾向がいくつか指摘されています。
高齢者や子供など、リスクの高い年齢層は、猛暑の中で過ごす時間が長くなっています。
65歳を超えた高齢者は、1986年から2005年の平均よりも高い割合で猛暑にさらされています。
また、コレラやデング熱のような病気が蔓延しやすい温暖な地域に住む人も増えました。
ヨーロッパのバルト海地域や米国の北東部および太平洋岸北西部では、危険なビブリオ菌が繁殖するのに十分な暖かさの海岸線が広がっています。
一部の貧しい国では、1950年代以降、マラリアを媒介する蚊の季節が長くなっています。
72%の国で山火事にさらされる危険性が増えています。
また、2020年には、世界の陸地の最大19%が極端な干ばつの影響を受けていました。
米国では、熱波、火災、干ばつが最大の問題でした。
太平洋岸北西部とカナダでは、この夏、極端な熱波が発生しました。
以前の研究では、人為的な気候変動がなければ、熱波は起こらなかったとされています。
ワシントン大学教授のジェレミー・ヘス博士は、ランセット報告書の共同執筆者です。
ヘス博士は、熱波の最中、シアトルの病院で働いていたときに、気候変動の影響を目の当たりにしたと言います。
「私は、救急隊員が膝をついて熱射病の患者を看護していて膝に火傷をしたのを見た」と話しています。
「また、あまりにも多くの患者が暑さのために亡くなるのを目の当たりにした」とも述べました。
報告書によると、対象となった84カ国のうち65カ国が、気候変動の原因となる化石燃料の燃焼を支援しているとのことです。
UCLAの公衆衛生学教授であるリチャード・ジャクソン博士は、今回の研究には参加していません。
ジャクソン博士は、「絶望的な状況にある患者の世話をしているときに、誰かが火のついたタバコやジャンクフードを患者に渡しているようなものだ」と話しています。
スタンフォード大学教授で、今回の研究プロジェクトには参加していないミシェル・バリー博士は、「この報告書は赤信号という表現では言い表せないほどの危険を示している」と話しています。
さらに、「我々は完全に間違った方向に進んでいる」とも述べています。